あらすじ

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 とある中学校にて。  担任教師非公認の学級通信「白い箱」の編集者である笹城(ささしろ)は、読者であるクラスメイトに記事の内容についてあるダメ出しをされた。  いわく、君の記事は表面上の噂話やクラスでの話題について簡潔にまとめてあるだけで、一つの事柄に深く追求することがない。いうなれば、君の記事には内容がない。  彼の率直な意見を聞いて今一度、読み手の心を掴む目新しい記事を書かねばと笹城は躍起。  考えたのは読者にも当事者にも利益があり、自身も名声を得られるような記事。  そこで笹城は、現在「ある理由で」不登校となっているクラスメイト、伊達(だて)五郎八(いろは)に白羽の矢を立てた。  彼女の現在や思っていることを記事にしてクラスに伝えることもできるし、彼女にも白い箱を配布する口実ができる。  その上自分が名声を手にすることができるならば一石三鳥。  さっそく放課後に伊達の家に向かった笹城。いとも簡単に彼女の家にあがると、そこには、「何かが違う」伊達五郎八の姿があった。  この時笹城が直面したのは、クラスで囁かれる伊達についてのウワサと、本人が遭遇している実情が全く異なっているという事実だった。  編集者としての使命感ではなく、己の位置という欲ではなく。一人の人間として、書かなければならない。彼女の今を。ずれ込んだ認識に一刃を立てなければ。  そんな義務感に動かされた笹城の活躍により、無事、クラスメイト達と伊達との誤解は解ける。  事件解決の号外をもって笹城は伊達の家に向かうが、その文面は彼女の元に届くことはなかった……。  痛い目というのは本人が遭わなければ身に染みぬもので、笹城の感情を追体験したところで、世界もあなたも変わることはなに一つない。  つまるところ、ここまでが全てタイトルであり、このお話に内容などは一切含まれていないのだ。
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