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私の気持ちは、見て見ぬふり。ズルいなあ、先生。
帰らなきゃいけないのに、しぶとくなる。
もう少し残ってたら、先生にまた会える気がするんだもん。
さすがに暗くなってきて、昇降口でローファーに履き替える。
何度も振り返って、先生がいないか確かめて。
声がしたら、耳を澄ませる。
雨のなか、1つの傘に並ぶ2つの影。
車のヘッドライトに浮かぶそれは、特別に見えた。
先生の嘘つき。子供扱いはしないでよ。
先生は嘘つき。彼女がいるならいるって言ってよ。
嘘つきな先生。この傘があったら、影は離れていたのかな。
貸してくれた白い柄の傘は、なんだか使いたくない。
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