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逃げ込んだマフラーの中は、自分の温もりしかない。
知りたくなかったな。見たくもなかったよ。
「お待たせ」
って、触りのいい声色まで想像させる微笑みは、悔しいけどカッコよかった。
あれだけ美形だったら、彼女がいる。
それが、女子生徒の間で出た結果だ。私たちより1年早く赴任してきていた先生は、入学した私たちの関心を引いたけれど、すぐに諦めがつくほど魅力的だ。
だけど、私は一瞬でとりこになっていた。
無謀だと分かっている片想いは、あの日から始まったんだ。
彼女さんの顔なんて、知らなくて良かったのに。
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