第1章

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 その相手は、何かを、さらおうとしているらしいが、ソレを読み取った私が何者なのか、探りを入れている。  私と同じ事が出来る人間が居ても、不思議ではないが、知ったからといって、阻止出きる訳も無く、何処の誰が、何処の誰をどーしようと云うのか、そこまでは、わからない。  とは云え、気になる事件事、感度を上げてみた。  強烈にいろいろな心が飛び込んできた。  とても強い、恐怖に怯える心と、何かに怯える心。  飛び交う心のうちのひとつは、まさに、さらおうとしている瞬間のモノだった。  さらわれ様としている人の心の叫びを聞くと、さらおうとしている相手は、宇宙人。  さっき見たのは、流れ星ではなく、未確認飛行物体だったらしい。  それだけでは、済まなかった。  宇宙人は、地球上の特殊な遺伝子の採取が目的で、特殊な遺伝子の持ち主とは、いわゆる、ドラキュラの様だ。  その近くには、狼男までもが居る。  さらわれ様としている者を助けようとしている心がある。  止めようとしている心もある。  心の主に違和感がある。  怯えていたのは、犯罪者と自殺しようとしていた男の様だ。  この展望台の麓の森に、逃げ込んだ犯罪者。  その犯罪者に直撃した、飛び降り自殺者。  この森に隠れ家がある、ドラキュラと狼男。  宇宙人がドラキュラだと思って、さらったのは、崖から飛んだ自殺男。  宇宙人だと叫んだのは自殺男だった。  ソレを見て、狼男はドラキュラが、ドラキュラは狼男がヤラれたと思ったらしい。  更には、自殺を止め様としていた、背後霊。  ドラキュラを守ろうとしていた、古のドラキュラ達の守護霊。  それらをあざ笑う、この森で自殺した、地縛霊達。  遠い過去の人間の心までもが、流れ込んできた。  ぐるぐると回る頭の中を、必死に整理をつけ様としている私を、まぶしい光が包んだ。  ふわりと浮いて、光の玉に吸い込まれた。  宇宙人だ。  私の記憶を操作しようとしているのが、読めたが、気を失った。  ベッドで目が覚めた。  ぼんやり、夢、うつつ。  記憶がおかしい、読み取って、繋ぎ合わせて、こう云う時は、便利だ。  宇宙人に、ドラキュラに、狼男に、背後霊に、守護霊。  映画を見終わった様な、続編が続く様な、そのまま、映画の様に楽しもうか。  おわり。
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