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多少問題があった風呂も上がり、着替えを済ませた2人はまたスカーレットの元へと戻った。
「いろいろと怪しいのは分かった。それにティアラが危険でないこともな。しかし、どうやってこのタイミングでここへたどり着いたのだ?」
「いや、追われながらも適当にぶらぶらしてたらここへたどり着いた…………というのはまぁ、半分嘘で半分本当じゃが、グレイがここにいると聞いたからのぅ。」
「なるほどな。で、グレイには会えたが、これからどうする?グレイの記憶はここにいても戻らんと思うが?それに、ここでずっとドンパチやられても困るぞ。」
ここまで黙って聞いていたグレイが立ち上がってやっと話に入る。
「それなら気にすんな。旅に出る。こいつを連れてな。それに、スカーレット。お前も言ってたろ?もしかしたら、旅に出る機会になるってな。」
「そうか…………人手が欲しいのも事実だが、仕方ないな。まぁ、また私に挑んでくるならいつでも相手をしてやるから、ちゃんと戻ってくるんだぞ。」
「オーケー。また腕上げてからその面に一発撃ち込んでやるよ。」
「フッ。期待しておくぞ。」
そのままグレイはスカーレットに背を向けヒラヒラと手を振り出て行こうとする。
ティアラも隣に移動してグレイと共に出ようとする。
「ああ、そうだ。これは餞別だ。」
そう言ったスカーレットは紅と黒の刀をグレイへと振り下ろす。
グレイは背を向けたまま、背中にあった白銀の刀で難なくそれを受け止めた。
「おいおい。最後の最後に喧嘩でもすんのか??って、なんだこれ?」
「そのケースに弾薬やら銀弾、旅に必要な物が一式入っている。それと、500000Gだ。」
「はっはー。いつ用意してたんだよ?」
「お前を拾った1ヶ月後くらいだから、5ヶ月前くらいだな。いつかこの日が来ると思っていたからな。お前を見送らなければならない日が。」
「へー、そっか。気ぃ使わせたな。まっ、サンキュー。なんかあったらまた連絡くらいするからよ。…………半年間世話んなった。深紅の妖精、リロイ=スカーレットさんよ。」
そこまで言って今度こそグレイは出て行った。
昔と変わらんな。
別れの言葉は言わんか。
まぁ、私も別れの言葉は嫌いだし、また必ず会うことになるだろうからいいか。
またと言うか、あいつの場合直ぐに私が行かないといけない事態を起こしそうだからな。
直ぐに会えるか。
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