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「さーてさて、旅にはいつでも出れる状況になったな。けど、あちらさんに出来ればバレたくねぇんだよな。」
グレイの言うあちらさんとはティアラを狙ってるやつらで旅に出たことがバレればすぐに追ってがくる。
いずれバレるのだが、それでも、すぐに追われるよりは楽だ。
狙っている連中の規模は分かっていないため旅先でも、ここギルバート王国の西方(オリエント)以外の組織からも狙われる可能性も大いにある。
「なんじゃ?やけに慎重そうじゃの?」
今回は慎重過ぎるくらいが丁度いいのである。
「まぁな。今回、どこのどいつがどれくらいの規模でお前を狙ってるかわからないからな。昨日の奴らは末端の方だ。狙う理由を知ってるような口振りだったが、多分嘘の理由を教えられてただろうな。」
グレイは部屋のベッドへと向かい寝転んだ。
ティアラはテーブルに置いてある紅茶を飲みながら椅子に座ったままグレイの話へ耳を傾けていた。
「のぅ、お前様よ。わざと、堂々と出て、片っ端から追ってを潰せば、多少上の者が出てくるのではないか??」
「ああー?それは、めんどくさいだろ。」
その手もありだろうが、さっきも言ったように規模がわからねぇからな。
後々めんどくさいことになったら大変だ。
「っても、どの道一緒かもしれねぇしな。いつも通り、行き当たりばったりでやっていくか。何とかなるだろ。」
「じゃな。いざとなれば儂も頼りになるだろうしの。儂の刀は便利じゃからのぅ。」
「そういえば、お前の大太刀、ただ長いだけの刀に見えるが、何かあんのか?」
グレイのその言葉でティアラは右の手のひらを前に差し出すと手のひらから刀の柄を出し左手で引き抜いた。
それをグレイの部屋の床に差して立てる。
「お前、ここ俺の部屋だぞ。そう軽々と傷つけんな。」
「そんな細かいことは気にするでない。して、この刀じゃが……………名は“破邪の御太刀”。儂みたいな化け物にはより効果的じゃ。」
そう言ったあと、ティアラは破邪の御太刀を床に差したまままた椅子に座り直して紅茶を一口飲んだ。
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