32人が本棚に入れています
本棚に追加
「儂も何度か死のうとは思ったが、無理じゃった。太陽の下に出て自殺した者もおったりしたようじゃが、儂にはそれも無理じゃった。どうやっても死ねぬのじゃ、儂を殺せるのは破邪の御太刀を扱える者くらいだろうのぅ。」
やっぱり、長生きってのも辛いんだな。
それもずっと1人で生きてきたなら。
「そうかい。よし!これから俺とお前は旅に出るわけだ。2人で。つまり、俺とお前はパートナー。これはオーケーか?」
ティアラは急に立ち上がって喋り始めたグレイに少し驚きながらも返事をした。
「もし、お前が明日死ぬなら俺も明日死ぬ。捉え方はなんでもいい。家族とか友達とかなんでもだ。1人だったなら、これからは俺が一緒にいてやるよ。俺もどうせ独り身だしな。これからはお前が長生きしても得られなかった楽しみを与えてやんよ。お前が死にたくなったら俺が殺してやる。けど、死にてぇとかあんま言うな。」
それから、しばし沈黙が流れた。
「カカッ!カカカッ!!さすがはお前様じゃ。グレイ様々じゃな!!いいじゃろう。そこまで言うなら、お前様について行き、楽しませてもらおうかの。」
相変わらずじゃの………。
昔2人でいた時が懐かしいわい。
また、あの頃に戻れるのなら。
死にたくなくなるくらい楽しかった日々に戻れるなら、儂はお前様とずっと一緒にいよう。
「決まりだ。 もう、どうこう考えるのはやめだ。すぐにでも出発するぞ。」
「うむ、そうじゃの。紅髪の女がいろいろと用意してくれたみたいじゃし、儂もいつでもよいぞ。」
「家は…………このままでいいか。いつか帰ってくるだろ。あぁ、待てよ。ティアラ、お前もギルドに登録しとけばいいんじゃねぇか?スカーレットに頼んどくよ。通信器具でも依頼を受けれるしな。2人で仕事すりゃ楽に済む。金も足りなくなったら依頼を受ければいいだけさ。」
そう言って、グレイは小さなタブレットを取り出してボタンを押す。
すると、立体モニターが浮かび上がってそれを操作してスカーレットと連絡をとった。
最初のコメントを投稿しよう!