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「よう、スカーレット。昨日ぶりだな。今日、この街を出ることにした。」
「そうか………。まぁ、いつでも連絡しろ。助けられるところは助けてやる。」
グレイがだした通信タブレットから立体ビジョンが出され、そこに映るスカーレットと話を進めていく。
ティアラは物珍しそうにそれを見ていた。
「まぁ、さっそくで悪いが頼みたいことがある。ティアラもスカーレットのところのギルドに登録しておいてくれねぇか?」
「む?何故だ?別に依頼を受けるのは貴様だけで充分じゃないか?」
確かにスカーレットの言うとおりではある。
グレイが依頼を受けて、仕事を手伝ってもらうなりなんなりすればいい話なのだ。
「いや、そうなんだけどよ。スカーレットのとこは情報漏れなんてないだろ?ジルが管理してるんだからよ。それに、登録しておけば、もしもの時、ティアラの動向もスカーレット達が把握できるだろ?その方が安全だ、念には念をってやつだな。」
「それもそうだな。しかし、珍しく弱気じゃないか。」
「いや、なに。俺でこと足りると願いたいが、今回はどうにも大事くせぇ。それも世界的なだ。」
スカーレットの予想も当たるが、実はグレイの感もほとんどの確率で当たることが多い。
若いながらも人生経験を多く踏んだせいか、はたまた元からそういうものを持っているのかは定かではないが。
「それに、依頼も女しか受けれねぇもんもあるだろ?潜入関係は特にな。」
「まぁ、分かった。では、街を出る前にでも一度私の元へこい。ティアラにも我がギルド専用の通信タブレットを渡しておこう。」
「助かる。じゃあ、あとでな。」
グレイとスカーレットの会話はそこで終わり、グレイはタブレットを操作し、立体ビジョンを閉じるとタブレットをポケットへと締まった。
ティアラにタブレットを持たせる理由としては色々あるがな。
まず別行動をしないといけなくなった場合の連絡手段。
あとはさっきスカーレットに言ったように、スカーレットがティアラの居場所を把握しておけるようにだ。
そうすれば俺がティアラから離れたとしても、ジルが何らかの手段を考えてどうにかしてくれるはずだ。
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