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「おい、お前様よ!起きぬか!」
グレイはその呼び声と共に目を覚ました。
眠い目をこすりながら。
「どうした?何か問題でもあったか?これと言って殺気なんかは感じねぇぞ。」
しかし、ティアラはグレイの言葉に対して返答はせず、森の方をじっと見つめたままだった。
それで、グレイもティアラの視線の先森へと視線を向ける。
おかしい。
殺気なんかを感じるわけじゃないが、森が静か過ぎる。
眠りからまあまあの時間は経っているが、日の出まであと一時間と言ったところか。
亜人は夜行性が多いはずだけどな。
「その人形が何か察知したのか??」
「うむ。森の中に……………儂と同じ程度の者……………いや、それ以上かもしれぬが、人間ではない。儂と同じく…………化物じゃ。」
ティアラが言いきった直後、グレイはとてつもない殺気を感じた。
ティアラの言う化け物がこちらに感づいたのだろう。
「はっ!とんでもねぇな!おいでなすったぜ!」
グレイもティアラ程ではないが、今までの経験で殺気や気配ですぐに相手とのだいたいの距離感が掴める。
そのため、すぐそばまでもの凄いスピードで近づいてきたのを察知した。
森の木々を切り刻んで、それは2人の前に現れた。
「ああ、やっぱり……………同族の者か。その金色の髪。見覚えがある。ははっ!嬉しいねぇ。君も嬉しいかい?ティアラ=ハート=ショットブレイド。」
儂の事を知っておるじゃと?
こやつ、何者じゃ。
現れたそれはティアラの持つ破邪の御太刀と似たものを持っており、ギルバート王国よりも東の方の国で昔使われていた甲冑をつけた武者だった。
兜もしていて、面もつけているので顔などは不明だ。
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