金色~こんじき~

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「お前様!?大丈夫なのか!?」 液体のような状態の奴の攻撃を咄嗟に回避したグレイは尻餅をつく形で倒れた。 それに反応して、ティアラがグレイへと駆け寄る。 「ティアラ。そして、その主であるショットブレイド………否、今はH=Sと呼んだ方がよいか。また会うであろう。その時は本体で全力で貴様等の命を刈ってやる。それまでに楽しみにしておくといい。ククククククッ!」 グレイが切ったはずのそいつは森の中へと液体化したまま引っ込んでいった。 おそらく、本体の元へと戻ったのだろう。 「にゃろう。次こそは、って………痛てぇ。」 グレイが液体化したままの相手を見ながらも、追えぬそいつに向かって言うが、すぐにティアラがグレイの胸へと飛び込んだ。 それにより、また傷口が少し開いた。 こんなに古傷が開くもんか? あの野郎の能力か何かか? 「この馬鹿者め!何故退かぬのじゃ!結果として相手が退いてくれたから良かったものを、もしあやつが本気だったならばお前様は命がなかったかもしれぬのじゃぞ!記憶を失っても昔と全く変わらずじゃ!馬鹿者め!」 ティアラは抱きつく。 強く。 グレイをもう放さないと言うほどに。 「言っただろうが。お前の命が明日までなら俺の命も明日までだ。つまり、ティアラ、お前が死なねえ限り俺も死なねえ。だいたい、そんなヤワな身体してねぇよ。ちっとばかし古傷が開いただけだ。」 「前と同じじゃ!それでお前様が死にかけて………」 そこでティアラは言葉を止めた。 感情的になりすぎて危うく話してしまうところじゃった。 グレイは自分で記憶を取り戻したがっておるというのに、儂が話してしもうては意味がない。 「なぁ、その、お前から見ての俺について聞いていいか?自分自身で取り戻したい記憶だが、少しは聞いておきたい。」 ティアラの気遣いとは反してグレイはそんなことを聞いてきた。 ティアラはグレイに抱きついたまま、顔を下に向け、その問いに答える。 「儂にとってお前様は我が主であり、今となっては生涯で唯一のパートナーじゃ。二度と失いたくはない。」 二度と…………ねぇ。 どうやら、俺はこの左目と共に大事な記憶も失っちまったらしいな。 早いとこ取り戻さねえとな。 グレイは左手で左目を覆う。 そして、まだ、目に涙を溜めているティアラの頭を撫でながらそう思う。 日が昇り、金色の髪と白銀の髪が綺麗に輝く。
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