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「お前様よ、その目は開かぬのか?」
一度グレイから少し離れ、グレイが手で覆っている左目を指差し問う。
左目はあの男にやられたとあの女から聞いておるのじゃが、開かぬことはないと思うの。
無意識に開こうとしていないのじゃろうが。
「まぁ、開かないだろうな。スカーレットに拾われた時に治療してもらったらしいんだが、その時から開かないから開こうともしなかったしな。」
そう言って先ほど外れた眼帯を拾って付け直そうとする。
「まぁ待つがよい、お前様よ。その目………意識して開こうとせよ。さすれば、開くかもしれぬ。」
「あ?まぁ、別にいいけどよ。」
どうせ開か…………開いた。
開かないと思い込んでいた左目が開いた。
そしてその左目はの紅い瞳であった。
右目とは色が違うのだ。
右目は蒼色だというのに。
やはりな。
えぐられ、取り替えられておるか。
じゃが、何故あの男は自分の瞳と主様の瞳を入れ替えたのじゃろうか?
奪うだけで良かったものを。
とりあえず、紅い色になっておると言うことは馴染んで来ておる証拠じゃの。
「開くならこれはいらねえな。って思ったけど、なんか落ち着かねえ。」
「お前様よ。その目は危険じゃから今まで通り、眼帯をしたままにせよ。記憶が戻ればその理由も分かる。今は聞くでない。」
記憶が戻ればって………いつの話になるんだか。
まぁ、別に興味ねぇが。
それに、今までこれでやってきたんだ、別段問題ねぇだろ。
グレイは眼帯を付け直し立ち上がった。
「じゃあ、そろそろ行くか。少し予定変更するがな。森の中に知り合いの集落があっからそこで一度休ませてもらって明日森を抜けきるぞ。」
「うむ、分かった。」
ティアラも立ち上がりグレイの後を着いて行く。
紅い色の左目のことはひとまず置いておき、まずはセントラルへ情報収集に向けて、2人はまた進み出す。
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