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「我が一族森と共に!」
その合い言葉をリザが言うと木の門が倒れてきて、堀の間の橋となる。
「おぉ、なるほど、そうなるのじゃな。ジャンプして入るのかと思うておった。」
「いや、バカかお前。堀がこんだけ深い上に幅あんだからジャンプじゃ………って、お前に常識は通じないか。」
リザの後ろで突っ立っていた2人は呑気にそんな会話をしていた。
ティアラの身体能力なら本当にジャンプで飛び越えられそうだからな。
突っ込むのもばかばかしいか。
つーか、たまに天然だよな、こいつ。
「何してるの?早くきなよ。」
「っと、わりぃ。」
気づけばリザは先に橋となった門の上を歩いていた。
2人も着いて行き、3人とも集落の中へと入ると橋がゆっくりと持ち上がって再び門となって閉まった。
「おぉ!なかなかの集落じゃの!広いし自然と共にある感じが良いの!」
「ここは自然と共にあるからな。森の中だから、木で家を作るし、食べ物も木の実やら獣の肉、近くの湖で取れた魚なんかだ。畑なんかもあって完全自給自足だ。」
集落の中には高床式の木でできた家がたくさんあり、塀の近くには四方に見張り台があった。
中心には大きい家がある。
そこから、誰かが手を振っていた。
「あ!お母さん!」
リザがその人物の元へ駆け寄った。
グレイは別に駆けたりせず、ゆっくりと歩いてそこへ向かった。
「よぉ、久しぶりだな、リリーおば……ぶっ!」
おばさんと言い掛けた瞬間、グレイが数メートルぶっ飛んだ。
「あらやだ、グレイちゃん何か言ったかしら?」
このばばぁ、相変わらず、綺麗な顔してとんでもねぇパンチ力してやがる。
「オーケー、わりぃな、口がすべ……ぶねぇ!!」
「次、何か言ったら死ぬかもしれないわねぇ?」
な、ナイフ投げてきやがった、このばばぁ、本気だったぞ!
挨拶とかじゃねぇ!
「お前様よ、おなごにそんな言い方は失礼じゃろうが。お姉さんじゃろうに。」
「あら、そこの子はしっかりしてるじゃない。初めまして、リザの母親のリリーよ。よろしくね、綺麗なお嬢さん。お嬢さんは?」
「儂はグレイの旅のパートナーと言ったところかの?よろしく頼む。」
ティアラはうまいこと仲良くなりそうだな。
まっ、何者かについては深く話さずに助かったか。
めんどくせぇことになるからあの筋肉バカにだけ伝えとけばいいしな。
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