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B「まさに立てば芍薬。座れば牡丹。歩く姿は百合の花ね。」
カメラの先、物憂げな表情な彼女に向かって、そんな事を思わず呟く。
すると、彼女は栞から視線を逸らして、軽く睨むように眉を寄せて、私の方へ振り返ってきた。
A「…姉さん!早くさっさと撮ってよ!着物、結構きついんだから!」
B「はいはい。」
形の良い唇から零れた声は、外見のわりに低い。
…まあ、男なのだから当たり前なのだけれど。そんな事を思いながら、急かされてカメラのシャッターを切った。
ーカシャ。
画像を確認すれば、良い出来栄えである。
少女らしいあどけない美しさの中に、物憂げな表情が更に引き立っている。
…次に出る写真集も、先行きが安定かな。
そう思いながらも、ガシガシと鬘を掻く実の弟を見つめる。
最近売れっ子になった少女モデルが、実は男で。姉弟共にグルだなんて、誰も思うわい。
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