第1章

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暗闇の中をひた走る 月明かりでさえ届かない暗闇 背後から迫る気配に怯えながらただひたすらに走る やがて気配がすぐ後ろへと差し掛かる そして… 「うわあぁぁ!」 盛大に飛び上がり、まだ寒い春先に汗をかきながらベッドから落ちてしまったのはこの俺桜井悠里だ 「な…なん…」 パニックを起こしていると数秒後、ドタバタと階段を上がる音が聞こえ、その勢いのまま扉が開かれる 「ちょっと悠里! 朝からうるさい! パジャマに牛乳溢しちゃったじゃない!」 扉の前には性格はキツイが見た目はそこそこ可愛い我が妹、悠菜がいた 「あ…あぁわりぃ」 「で、どうしたの?まさか怖い夢見たとか?」 そこで急速に意識が覚醒し何とか誤魔化そうとしてると 「うわぁ…図星じゃん その年でマジ?」 慌てて弁明しようとするが時既に遅し、散々バカにされてしまった 諦めて途中から無視をしていたが 「ねぇどんな夢だったの?ねぇ、ねぇってば!」 と、しつこく聞かれて仕方ないなと説明を始める 「なんかよくわかんないけど暗いとこでなんかよくわかんないのに追いかけ回される夢」 「はぁ?なにそれ全然怖くないじゃん」 興味がなくなったのか、すぐに出ていく妹に恐ろしい夢を見たはずなのにそうでもないような感覚に襲われる 「最悪な目覚めだけど学校行く準備するか」 時計を見ると多少ゆっくり準備しても間に合う時間だったのでスマホ片手に着替え始める 「しかし変な夢だったな… 」 1階に降りて歯磨きと洗顔を済ませてからリビングに行くと悠菜と母親がクスクス笑いながらこちらを見ている 「あら悠里おはよう おねしょしてない?」 完全にバカにしてやがる 無視して朝ご飯を食べようとすると妹が 「そういえば悠里、明日誕生日だよね? 彼女とデートの予定は?」 こいつ… 「ねーよ、つか居ないこと知ってんだろ 」 「あれ?結愛ちゃんは? もう付き合ってると思ってた」 「付き合ってねーよ…」 結愛とは俺の幼馴染みの変わった子 見た目は超美人、でも霊感があるとか言うちょっと痛い子 でも俺は結愛が痛い子とは思わない それは幼馴染みであるが故にそう思わされてしまう事に度々巻き込まれてきたからだ だからこそ俺は結愛が好きだ 俺が理解者になってやる!って思うだけで告白出来ないヘタレだけど
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