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第11章 別れと予約(続き)
以前は、たとえ自分から誘った時でも、
直之とのデートだと、多少なりとも胸が躍った。
そして会えれば、やっぱり少なからず嬉しかった。
しかし、この二日足らずの間、那々の心はピクリとも躍らない。
だが、直接、彼の姿を目にすれば、あるいは気持ちも動くのかもしれない。
そう思っていたものの、今、こうして寂しげな背中を目にしても、
やっぱり心にときめきはおろか、痛みすら浮かんでこない。
ふぅ……。
我知らず、那々の口元を、複雑な溜息が細く零れ出た。
そして、気持ちを改めるようにキュッと唇を引き締めると、
那々は、彼の待つ場所へと再び歩きだした。
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