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「ありがとう。だけど実は、もう伝えたんだ」
だがこれには、あまり動じることのない立花が少し驚いた。
「お前、やる時は案外、早業なんだな」
まるで独り言のような言葉に、忍は更に苦笑を広げる。
そして、
「だけど、俺としては、むしろタイミング悪く
彼女の悩みの種を増やしちゃったのかなって思ってな」
あぁ……。
にわかに言葉をなくしたらしい立花の顔にも、淡く苦笑が浮かぶ。
ところが、そんなタイミングで目の前に注文したタンシチュウが出され、
それで、ふと思い出したように立花に言われた。
「まぁ、悩んでたのは確かだし、その大半は迷いだったのかもしれない。
でも俺は、それが、彼女のマリッジブルーみたいなものじゃないと見たよ。
だから、来週の最後のデザイン会議で、
それをお前自身が、自分で確かめてみるのも有りかもしれないぞ」
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