第11章  別れと予約(続き)

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「ありがとう。だけど実は、もう伝えたんだ」 だがこれには、あまり動じることのない立花が少し驚いた。 「お前、やる時は案外、早業なんだな」 まるで独り言のような言葉に、忍は更に苦笑を広げる。 そして、 「だけど、俺としては、むしろタイミング悪く 彼女の悩みの種を増やしちゃったのかなって思ってな」 あぁ……。 にわかに言葉をなくしたらしい立花の顔にも、淡く苦笑が浮かぶ。 ところが、そんなタイミングで目の前に注文したタンシチュウが出され、 それで、ふと思い出したように立花に言われた。 「まぁ、悩んでたのは確かだし、その大半は迷いだったのかもしれない。 でも俺は、それが、彼女のマリッジブルーみたいなものじゃないと見たよ。 だから、来週の最後のデザイン会議で、 それをお前自身が、自分で確かめてみるのも有りかもしれないぞ」
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