第11章  別れと予約(続き)

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直之は、珍しく手にした本もなく那々を待っていた。 「ごめんね、待った?」 一応、詫びたが、まだ待ち合わせ時間よりも10分以上も早い。 そして、向かい合った直之は、 背中と同じくらい裏寂しさと一緒に緊張を浮かべていた。 「那々」 「あのね……」 思わず、互いの声が重なった。 「ごめん、何?」 「あ、いや、俺も……。でも、その、先にちょっと言ってもいい?」 表情の緊張を物語るように、彼の声も明らかに硬い。 そして、そんな彼に那々が頷き返すと、やおら目の前で頭を下げられた。
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