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直之は、珍しく手にした本もなく那々を待っていた。
「ごめんね、待った?」
一応、詫びたが、まだ待ち合わせ時間よりも10分以上も早い。
そして、向かい合った直之は、
背中と同じくらい裏寂しさと一緒に緊張を浮かべていた。
「那々」
「あのね……」
思わず、互いの声が重なった。
「ごめん、何?」
「あ、いや、俺も……。でも、その、先にちょっと言ってもいい?」
表情の緊張を物語るように、彼の声も明らかに硬い。
そして、そんな彼に那々が頷き返すと、やおら目の前で頭を下げられた。
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