第11章  別れと予約(続き)

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しかしその短い会議の間、忍の目は、 ほとんど愛しい彼女の様子ばかりを見詰めていた。 特別、やつれているようでもないし、 顔色も良く、いつもの彼女の姿がそこにある。 それどころか心なしかスッキリした感じさえも受け、 忍の気持ちも少し軽くなった。 そしてそんな彼女を目に、忍は、ある決心をした。 「なんか、すみませんでした。 お忙しいのに、こんな形だけの会議にお付き合いさせてしまって……」 いつものように、エレベーター前まで見送りに来てくれながら、 彼女が、すまなさそうに小さく頭を下げる。 しかし、この日、送りに来たのは彼女だけ。 そしてそれが、立花の気遣いであることは忍にも分かっていた。
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