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しかしその短い会議の間、忍の目は、
ほとんど愛しい彼女の様子ばかりを見詰めていた。
特別、やつれているようでもないし、
顔色も良く、いつもの彼女の姿がそこにある。
それどころか心なしかスッキリした感じさえも受け、
忍の気持ちも少し軽くなった。
そしてそんな彼女を目に、忍は、ある決心をした。
「なんか、すみませんでした。
お忙しいのに、こんな形だけの会議にお付き合いさせてしまって……」
いつものように、エレベーター前まで見送りに来てくれながら、
彼女が、すまなさそうに小さく頭を下げる。
しかし、この日、送りに来たのは彼女だけ。
そしてそれが、立花の気遣いであることは忍にも分かっていた。
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