第11章  別れと予約(続き)

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「この前は、ごめん。 あの、全然言葉も足らなかったって反省してる」 だが、恐らくこれは、彼が自分で気付いた事ではないだろう。 たぶん誰かに相談をして、指摘されての結果。 だがそこに、彼の実感が伴っているかは分からない。 しかし那々は、黙って彼の話を聞いていた。 「いきなり、助手になって仕事が減るから結婚してって言われたら 誤解するよね。 俺いつも、なんか肝心な事が上手く言葉にできなくて……。 でも俺が言いたかったのは、そうじゃないんだ。 っていうか、それが全然ないわけじゃないけど、 でも俺は、やっと念願の職に一歩近づけて もしかしたら大学院にも奨学金で行けるかもってなったから。 だから那々との仲も、前に進みたいっていうかで……」
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