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大好きな民族考古学の事以外は、比較的口の重い彼が、
どれだけ必死に言葉を繋いでいるかが伝わってくる。
だがそれでも、那々の中で気持ちは、やっぱり動かないまま。
そしてそれが、なんだか悲しく思えてきた。
しかし、そんな彼女の心情に気付かぬようで、直之は更に懸命に言葉を繋ぐ。
「あのそれに、手とかを繋がなかったのは、
その、俺はそういう事に疎いっていうかで。
でも別に那々の事を、ドーナツと同じようにしか思ってないわけじゃなくて、
本当に俺は、那々が好きなんだけど、
なんていうか、いつどうやってそういう事をすればいいのか、
ちょっとタイミングっていうかが分からなくてさ」
だから、自分の気持ちは真剣なんだ。
そう括られた彼の真顔を前に、那々は小さく眉間を歪めた。
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