第11章  別れと予約(続き)

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大好きな民族考古学の事以外は、比較的口の重い彼が、 どれだけ必死に言葉を繋いでいるかが伝わってくる。 だがそれでも、那々の中で気持ちは、やっぱり動かないまま。 そしてそれが、なんだか悲しく思えてきた。 しかし、そんな彼女の心情に気付かぬようで、直之は更に懸命に言葉を繋ぐ。 「あのそれに、手とかを繋がなかったのは、 その、俺はそういう事に疎いっていうかで。 でも別に那々の事を、ドーナツと同じようにしか思ってないわけじゃなくて、 本当に俺は、那々が好きなんだけど、 なんていうか、いつどうやってそういう事をすればいいのか、 ちょっとタイミングっていうかが分からなくてさ」 だから、自分の気持ちは真剣なんだ。 そう括られた彼の真顔を前に、那々は小さく眉間を歪めた。
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