第11章  別れと予約(続き)

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そして、静かに深く息を吸い込んでから、ゆっくりと始める。 「ありがとう。そして、ごめんね」 わずかだけ言葉を切った那々の前で、不安げに直之の眉根が寄った。 そして、さすがにこんな彼を前に、那々の気持ちは小さく痛んだ。 しかし、だからと言って後戻りはできなかった。 だけど――。 と、那々は再び話を始めた。 「直之の気持ちはよく分かったし、そう思ってくれててちょっとホッとした。 でもね、私たち、それをお互いに確認し合うのが少し遅かった気がするの」 「どういう事?」 「ねぇ、知ってた? 私たち7年も付き合ってて、 こうやって気持ちを確かめ合うの、初めてだよ? でもね、これは直之だけが悪いわけじゃない。私にも責任はある。 だけどね、この前からずっと色んな事を考えたり、 思い出したりしてたんだけど。 なんだか私たちね、お互いの気持ちの間に 距離が出来ちゃったような気がするの」
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