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寒さを切り裂く男の叫びと、大きな物音が
家中に響き渡る。
暫しの静寂の後、足音が続き、
辺りは騒然となった。
居間で寛ぐ振袖の美少女が、それに
気付いて顔を上げる。
A・「ん?この音は爺やか。ばかめ。
性懲りも無く、また引っ掛かりおった」
B・「お嬢様、また爺やに悪戯をなさったの
ですか?」
A・「まあな。
しかしヤツも、毎度簡単に引っ掛かるとは、
学習能力が無いのう」
B・「それで、今回はどんな悪戯を
なさったのです?」
A・「今回は扉を開けるとな」
B・「開けると?」
美しい顔に微笑みがうかぶ。
A・「金盥が落ちるのだ。
この間お笑い番組で見て、一度やって
みたかったのだ。
伝統ある悪戯らしいぞ。ふふふふ」
B・「さようで(金盥……。爺やも気の毒に)」
静かな冬の日の、お嬢様の午後のお楽しみであった。
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