初恋

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夕暮れ 二人きりの教室 君にっ見つめられて 日誌を書く手が震えてる パキッ パキッ 折れたシャーペンの芯が 君にあたっても 「ごめん」 って言うのが精いっぱい 怪力め、なんて君の冗談にも 俯くことしかできなくて 人がいる中なら いくらでも馬鹿なこと 言い合えるのに なんて なんて 不器用だったのだろう 君への恋心 気づかぬ君に 恨みつつも 少しだけ感謝してた 君はスーパースターみたいに 何でもできて 成績優秀 スポーツ万能 追いつきたくて いっぱい いっぱい 努力したよ 取り柄もなくて 見た目だってパッとしない 追いつけそうなのは 勉強くらいだった 毎日のように ガリガリ勉強 そしたらなんと 私にライバル宣言 負けず嫌いの君には逆効果? でも 君の隣に立つ理由ができたんだって ひとり満足してた 勝負の相手なら いつでもなるよ 運動が私の最大の弱点 努力はしたけど 人並みにいくかいかないか 要するに 運動音痴 そんな私にも たった一度の奇跡が起こる 体育の授業 勝利の逆転シュート なんと 決めたのは私 スパッ 心地よい音とともに 君の手が 私の頭に触れ ぐしゃぐしゃになでる あの時向けられた 満面の君の笑みは 私だけのものだった ある日 君は 恋をした 転校生の美少女 高望みじゃない?と 笑い飛ばしたけれど 君の顔は真剣で 隣り合って立つ二人は 誰が見たってお似合いで 涙見せたくなくて 君に背を向けて 走って帰った あの子と帰る君をよく見る みんなが認める お似合いカップル 冷やかされては 顔を赤らめる君を もう見ていられないや 君の笑顔は もうあの子のものなんだね 私はひとり あの日の笑顔を 私だけの笑顔を 何度も何度も 思い返す 卒業式 ドキドキしながら 寄せ書きを渡す 君はいつもの へたくそな文字で 楽しかったね ありがとう って言葉をくれたから 私は渡された君の寄せ書きに こう書いた ありがとう 私の初恋でした お幸せにね ありがとう ありがとう ありがとう さようなら 私の 大好きだった 初恋の人
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