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『隆太くんはねぇ、こう見えても遊人なのよ~』
『え?』
「ちょ、」
『毎晩綺麗な女の子連れててね~。あ、男の子もいけるから気をつけなよ~シンちゃんも。』
「絵里さん!その話は――」
止めてください。と言おうとしたとき、
『―――知ってます。』
と、落ち着いた〝シンちゃん〟という男の声にそれを遮られた。
「え?」
その言葉に、視線を男の方に動かして、瞳を捉える。
ごくり。
生唾を飲み込む。
『なになに。二人とももう知り合いだったの~?』
絵里さんが驚いたように目を見開いた。
でも、俺は首を振る。
こんな奴知らない。
〝シン〟なんて名前の奴、携帯に入ってたっけか。
…いや、俺が覚えてないだけか?
誰ふり構わず手出してた自分に、今初めて後悔した。
この職業やってて、人の名前覚えてねーとか。
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