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シンさんの一瞬の間は気になったが、まあ…いい。 取り敢えず、身のこなしから話ができる奴ではあると悟った。 深入りせず、でも浅すぎず。 この男ともそういう関わりをするんだろう、俺は。 リムの部分を親指でなぞっている男を見ながら、軽く微笑した。 俺は――… あの卒業式以来、人が変わったように荒れた。 言い寄られれば女でも、勿論男でも。 誰とだって体を重ねた。 もう人を好きにならない為に、抱いて抱いて、抱きまくって感情を殺した。 また誰かを愛して傷つくのは御免。 あんな苦しい想いをするのはもう嫌だ。 餓鬼ながら、彼奴のことを忘れるには、こうするしか他なかった。 いつの間にか、俺は情のない、軽い人間に成り果ててしまっていたけれど。
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