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「…キミ、溜まってんの?」 『まさか。』 冗談よしてください。と吐いた。 「噂を聞いた、と言っていたけど。」 『はい』 「興味本位?こんな人間、周りにいなくて物珍しかった?」 ははは、自嘲気味に笑った。 グラスを置き、そしてまた他のグラスに手をつける。 「シンさんだけじゃないですよ。そうやって自分に近づいてくる人は。」 この店を開業して、酔った客の介抱を続けている内に何度か――そういうことはあった。 でも、大抵その夜、一晩だけ。 というか、後で聞けば。殆どは男と寝てみたいという、好奇心からのものだった。 『…』 遠い目をしていることに気がついたのか、シンさんは黙って俺の手元を見つめている。 「…っあ、いや。…責めてる訳ではないんです。ただ、そういう輩もいるってだけで」 『……』 「気に障ったなら、申し訳ありません」 少々頭を下げれば、いえ、とシンさんは呟いた。
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