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気まぐれな嬢ちゃんだな、と内心笑いつつ。 「少し介抱してくるから。後は任せてもいい?」 『…は。』 私に全部やらせるつもりかよ。とでも言いたそうに、綺麗な顔を歪ませる。 そういう顔しなければ可愛いんだがな。こいつは。 「頼むよ」 『はいはい。』 「じゃ、よろしく」 不快そうにこくんと頷いた彼女に背を向けて、シンさんの方へと回った。 「行きますよ、シンさん。」 『あ…はい』 「自分で立てます?」 『大丈夫です。…っと、あ』 そう言って立ち上がれば、よろっと体勢を崩したので、すかさず体を支える。 「預けていいですよ、体。」 『…どうも』 「…、」 途端にずっしりとシンさんの重みが伝わってくる。シンさんはぐったりと目を瞑っていた。 シャンプーの匂いか、優しい香りが鼻を突き抜けた。 近えーな。 …しかも、重い。 「(なに意識してんだんだ、俺は。)」 その距離感に戸惑いながら、俺は店の裏へと向かった。
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