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――… 「気分どうですか。さっきよりは良さそうですけど」 『…ん。外の空気吸ったら大分…』 薄汚れたベンチに腰掛け毛布に包まれているシンさんは、力なく笑った。 左手に握られているペットボトルをごくりと飲めば、しゃがみこんでいる俺と視線を交える。 透明なレンズから覗く瞳。漆黒に広がるそれに飲み込まれてしまいそう。 ―――駄目だ。 「、」 俺は思わず、顔を背けた。 『望月さん。』 「…なんですか」 『どうしてそう、俺と目を合わせるのを避けるんです』 ――――え。 頭上から降ってきた言葉にどきりと心臓が跳ね、一瞬全身の動きが固まる。
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