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「そんな…避けてなんか、ないですよ」 心が波立ち騒いで落ち着かない。 絞り出した言葉は、絶え絶えだ。 『なら、今逸らしたのは?』 「それは…、」 上手い言い訳が思いつかねえ。 必死に思考を張り巡らすも、貧相な脳みそはちっとも役に立たず、虚しく押し黙った。 『他の客には愛想よく接してるのに。なんで俺には余所余所しい態度を取るんですか』 「…」 核心をつかれ、言い返す言葉をなくす。きゅ、と下唇を噛んだ。 『誘っても、毎回はぐらかされるし』 「……」 『俺のこと、嫌いですか。望月さん』
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