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俺の朝は、少しの倦怠感と少しの快楽の余韻を残して始まる。 チュ、チュと小鳥の鳴き声が一枚壁の向こう側から聞こえ、カーテンに目をやる。 隙間から、僅かな光。 それを確認すると、サイドテーブルに置いてあった長方形の箱を手に取る。 カチっと火をつければ、中から取り出したタバコに引火した。 災難な夜だったな、昨日は。 気を紛らわすためクールを吸い込み、吐く。 肺まで到達した白い煙が、口内から漏れた。 ベッドの横で無防備に眠る、金髪の少女。 やっぱり俺には、こういう方が似合ってる。 その髪を手で掬えば、瞼がゆっくりと開いていく。 「おはよ」 その瞳が俺の顔を捉えれば、心底嫌そうに溜め息をついた。 『…なんでまだ居るの』 不機嫌そうな声。 今俺は、忍の部屋の、寝室の、ベッドの上で煙草を愉しんでいる。 そしてお互い、何も身につけていない生まれたままの姿だ。 「住んでるとこ一緒なんだし、いいだろ」 『隆太さん臭いから嫌。』 あっち行って。と、彼女が睨む。
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