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チッと舌打ちして、再度握っていた携帯に目をやれば、メールが来ていることに気づく。 「(お、)」 佳祐からだった。 〝暇?会える?〟 伝えることだけ詰め込んだ、というのが明らかに分かる短いメール。 何処で、とか何時に、とか。 もっと詳しく決めてから送ってこいよ。 仕方なく携帯を耳にあてる。 〝ん、もしもし〟 「メール、どーした急に」 〝苛々する〟 「……(さっぱり分からん)」 〝いつもの喫茶店で待ってる〟 「え、おい、」 ――ブチッ。 俺の止める声も聞かず、一方的に切られた通話。 プープー、と中途半端に高い音を鳴らしている。 昼までは寝てたかったんだけど。 あと約三時間。ぐっすりベッドで横になろうとしていた俺。 「――――~~~くそ!」 近頃の俺は、呪われたりでもしてんのか。 今更断れない、古くからの友人の誘い。 俺は仕方なく腰を上げて、吹かしていた煙草を灰皿へ押し付けた。
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