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L型のカウンターに5脚のスツールと、四人分のテーブルが8台。 俺の店とはアンビアンスこそ違えど、配置は似たようなもの。 実を言えば。 就職浪人をしていた俺は、アキさんに感化されてあの店を開いた。 桁違いの莫大な費用も、現役時代に相当稼いだのか。 『有り余ってしまうのは惜しいから。せめて何かの役に立たせたいんだよ。望月君も職がないよりはましだろう?』 なんてアキさんの親切心なのか、同情なのか。 いとも容易く用意してくれた。 この人には、返しきれないほどの恩がある。 『りゅーた、遅い。』 待ちくたびれた、と退屈そうに肘を付けながら、佳祐がカップを置いた。 こつん、と陶器同士が触れ合う音がする。 「ごめん、寝起きだったんだよ。…つか、元はと言えば急にお前が呼び出したんだろ。」 如何して俺が謝らなくちゃいけないんだ。
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