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『隆太くーん』
カラン、と音がして振り向く。入口の扉に現れたのは常連のお客さんだった。
俺と目が合うと少し微笑んで、慣れたようにハイカウンターの方へ歩いてくる。
ハイチェアに腰をかけて、店内を見回した。
『今日はお客さんあまり居ないのねぇ』
「うん。そうみたいです。」
『隆太くんのこと、独り占めできるじゃないのー』
「…年下をからかうのはやめてくださいよ。」
絵里さんはカウンターに肘を付けば、くすくすと笑った。
『ジントニックでお願い。』
「ジンはどれにします?」
『この前のジンってタンカレーのNo.10だった?』
「はい。」
『なら今日はゴードンにしようかしら』
「分かりました。」
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