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**** 佳祐に〝着替えついでに帰る〟とだけ言い残して店を出た俺は、シックな雰囲気に包まれたパープル色の微妙にふかふかなベッドに腰を下ろしている。 こういうのが趣味なのか、シンさんは。 ホテルのような安っぽさのない、そこそこに落ち着いた印象を与える室内。 もっと凄まじい光景を予感していたこともあり、安堵の胸を撫で下ろすように大きく息を吐く。 ただ唯一。女の妖艶な声が、設置されているテレビから流れていることを除けば、だ。 煩わしく思い、それを消して再びベッドに戻ろうとすれば、ピンポンとインターホンが鳴った。 ―――来た、か。 その男がやって来たことを瞬時に把握すると、身構えながらドアを開いた。
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