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流された蜜をごくりと飲み込めば、シンさんはぎょっと目を見開いた。
『っ、なに飲み込んでんすか…!』
勢いで俺の肩を掴むシンさんの腕を振りほどけば、立ち上がる。
「別に。いつものことだから」
『いつもって…』
「何。」
慌てふためくシンさんに咎める視線を送りながら、散らばった服を拾い、投げ返す。
『…よく知りもしない奴にこんなことしてんすか、望月さん』
「…だからなんだよ。」
少し乱れた髪の毛を掻き上げる。だらしなく緩められたネクタイを元のように締めた。
『もっと自分の身体大切に扱えよ…!』
「アンタが言う台詞でもないだろ」
『…そ、れは』
ぐ、と押し黙るシンさん。なにか言いたそうに口を開くのが見えたが、結局口を閉じた。
「取り敢えず。もういいでしょう、シンさん。アンタも分った筈です。俺みたいな碌でもない人間に興味示したら、まずアンタの身体がもたないと思いますよ。」
『どういうことですか。』
「金輪際。個人的な誘いをするのは止めて欲しい。」
『如何して』
「シンさんがノンケだからです。」
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