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串切りにしたライムを絞り、軽く潰す。 アイスペールからアイストングで氷を掴み、グラスへ入れる。ころん、と軽い音を立てた。 ゴードン、少なめにしておこう。絵里さん酔いやすいし、まだ一杯目だしな。 ジンとトニックウォーターを注いで、軽くマドラーでステアする。 中にライムを沈めれば、完成。 「ごゆっくり。」 絵里さんの方へ差し出す。 『んー。良い香りね。』 グラスを手に取り鼻を近づけて、目を閉じた。透明なカクテルを口に運ぶ。 それを口に含めると、満足そうな顔をしてグラスを置いた。 『そうそう。今日、知り合いも呼んだの。』 「知り合い…ですか?」 『仕事の後輩でね。おススメのバー紹介して下さい、なんて言うもんだから隆太くんの名前出したのよ。』 「そうなんですか」 『〝その人の苗字って知ってますか〟ってやけにしつこく聞いてきてね。〝望月よ〟って答えたら目を開いて固まっちゃって。急遽、今日寄ることになったの。』 俺の名前に過剰反応って…。知り合いとか? でも周りはバー開いたこと知ってるからなー。 「まだ来てないみたいですね。」 『残業あるみたい。もうすぐ来るわよ。』 一体誰だろう。 思い当たる人物が浮かんでこない。
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