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「(ふざけんじゃねえ…。)」 今なら握り締めた携帯をぶち壊せるんじゃないかという位、血管の浮き出た右手。 苛々が収まりきらない頭をわしゃわしゃと掻いて、情けない携帯のアドレス帳を漁る。 誰でもいい。 男のノンケじゃなかったら誰でもいい。 誰かにこの苛立ちをぶちまけたい。 スクロースして見つけた【日下部瑛太(くさかべえいた)】と表示されている画面をタップして、電話をかける。 〝なーに、りゅーくん。珍しー〟 耳元から流れる甘ったるい声に、眉を顰める。 「今から時間ある?」 〝あるけどー?〟 「瑛太さんとこ寄っていい?」 〝あー、いいよ。でもまだ夕方にもなってないよ?〟 腕時計をちらりと見れば、まだ時刻は15時にもなっていなかった。
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