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* 『りゅーくんー』 俺の腕を枕にして身体をぴたりと密着させる瑛太さんに、甘ったるい声で名前を呼ばれる。返事をしないまま天井を眺めていたら、突然瑛太さんの顔が視界に大きく飛び込んできた。 「…ごめん」 そのまま近づいてきた顔に手を押し当て、唇に被さろうとしたそれを止めた。無条件反射ではなく、自分の意志で。 『いーよ別にー、分かってるからー。』 そう言いながらも瑛太さんは風船みたくぷくりと頬を膨らませて、不満そうに片肘をつく。 もう何度目かになる口付けの拒否。明らかにつまらない、と見て取れるその姿に、ただ「ごめん」と謝ることしか出来ない。 『ずっと思ってたんだけどさー』 「ん?」 『なんでココだけ駄目なの?』 先程の行為からか、瑛太さんの熱を帯びた指先が、唇を優しく擦る。
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