悲劇・振り込めサギ

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【今日はダンナが出張で来ているわよ…と教えたことが原因で、ダンナの母が…】 38歳・デリへル嬢 いつ頃であったのかよくおぼえていませんでしたが、あれは確か6ヶ月前のことだったと思いますが、アタシのダンナの母が振り込めサギの被害に遭ってしまったのでありました。 アタシたち夫婦は東京で、ダンナの母親(81歳)は熊本県で一人暮らしをしていたのでありました。 事件は、ダンナ(44歳・管理職)の母親のもとにかかって来た1本の電話でありました。 電話は、アタシのダンナをなのっていて『風俗店の女のコに手出ししていたことが店に知られてしまった…問題の女のコは、店長の婚約者だった…女のコを妊娠させてしまったので、中絶手術に必要な費用を300万円を急いで振り込んでほしい…』と切羽詰まった声でダンナの母親に言って来たのでありました。 困りはててしまったダンナの母親は、電話の通りに現金300万円を用意しまして、待ち合わせ場所に指定されている福岡市内へ向かったのでありました。 福岡市内に到着した直後に、ダンナの母親のらくらくホンに電話が繰り返し鳴っていたのでありました。 電話は、現金の受け渡し場所の変更の電話が来ていましたので、ダンナの母親はフシンに思いましてうちに電話がして来たのでありました。 この時アタシが電話に出ていまして、ダンナの母親が福岡市内にいると言うのを聞いて、アタシはつい『今日は、出張で福岡の取り引き先の会社と商談があるから、夕方に会えるよ…』と言ってしまったのでありました。 この時アタシは、ダンナの母親が振り込めサギの被害に遭うおそれがあることに気がついていなかったのでありました。 それから10日後のことでありました。 アタシとダンナは、熊本県で暮らしているメイゴの結婚披露宴に出席するために帰省していましたが、結婚式場に着いたとたんに、親族から帰れとなじられてしまったのでありました。 どうして帰れと言われたのか…アタシの頭は大パニックを起こしてしまったところへ、ダンナが『10日前におふくろが振り込めサギの被害に遭ったと言うこと知らなかったの?』と言われてしまったので、アタシはしまったと思っていたのでありました。 アタシは今回の一件で、ダンナの親族と気まずくなってしまったのでありました。
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