一章 人形は、かくれんぼしましょう

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「ほな、蘭、つれてかえりますわ。つれてきたん、おれやし」 蛭間さんの不審そうな顔。 状況が飲みこめてないな。 「おれら、マブダチなんすよ。な? 蘭」 「まあ、そうですね。猛さんほど絶対的な安心感はありませんが。頼れる友人の一人ではあります」 「猛とくらべんなや。こいつ、柔道三段やで」 兄ちゃん自慢は言わずにはいられない! 「剣道も三段だよ。昇段審査、受けるの、めんどくさがってるだけで、ほんとの実力は、もっと上だと思う。空手も達人ね。高校のときクラブでやってただけだけど」 今度は、蛭間さんが苦笑した。 「仲がいいんだな。とにかく、どうぞ、入ってください。 蘭さん、以前、あなたをテレビで見たときから、あこがれていました」 蘭さんは、ストーカー事件の被害者として、何度もニュースになってるからねえ。 それで、蛭間さんは蘭さんを知ってたのか。 「では、お言葉に甘えて」 蘭さんが蛭間さんに手をとられて、中へ入る。 というか、この人、蘭さんの手、つかんだまま離さない。 逃げられる気がするのかも。 続いて、僕らも。 こうして、僕らは呪われた人形作家の屋敷に迎え入れられた。 これが、いまわしい殺人事件の幕開けとも知らず……。 ほんとにねえ……なんで、いつも……。
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