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今井さんはポップアートを実写にしたみたい。服もメイクもポップアートの年齢不詳さん。金髪だし。
キツネ目のチャラ男が立川さん。
「こっちは妹の愛波です」
ムフフ。まなみさんか。
吸血鬼顔の蛭間さんの妹ってのがウソみたいだ。
いいですね。美人と同席。夏の恋の始まりかな?
蛭間さんは立川さんが差しだす手を自分の体でブロックした。
今度は年配の夫婦を紹介した。
「こちらは私が昔、お世話になっていた人形店の京塚さんご夫妻。私が無名だったころ、人形を最初に置いてくださったのは、京塚さんです」
なるほど。恩人ですか。
蘭さんが口をひらいた。
「京塚人形店と言えば、老舗中の老舗じゃないですか。お内裏に、ひな人形をおさめたこともあるんですよね?
僕の五月人形も、鯉のぼりも、京塚さんのお店で求めたんですよ」
さすが。蘭さんの実家はお公家さん。
所蔵品の数々が博物館の特別展覧会に出品されるようなお家柄だ。
うちの鯉のぼりなんてね。季節物のお菓子についてくるオマケ。十五センチくらいの鯉ね。
猛が青で、僕が……ピンク。
「へえ。おぼえとります。お兄はんのときも、うちを使てくれはりましたな。ごひいきにしてもろて、おおきに」
老舗の大旦那は美しい京言葉。
「で、こちらが、今現在、おせわになってるアンティークショップのオーナー。細野さんです。私の人形の委託販売をたのんでいます」
やり手そうな女社長は片手をさしだした。
「よろしく」
どんよくそうな目をしてるのが気になる。けど、美人ではある。
いちおう、この人の手は蘭さんも形式的に、にぎりかえした。
それにしても、新旧の恩人そろいぶみか。いったい、なんの集まりだ?
で、次がいよいよ、僕らの紹介。
と言っても、僕らは蘭さんの付属品。その他大勢ってやつ。
「こちらは以前から、モデルをたのんでいた九重蘭さん。職業はミステリー作家でしたよね。
それと、友人のみなさんです」
ほらね。名前さえ省略だよ。
といっても、そうだ。僕ら、まだ蛭間さんに名乗ってなかった。
僕は急に図々しく押しかけたことに、しゅうち心を感じた。
けど、兄ちゃんは堂々としたもんだ。
「東堂猛です。こっちは弟の薫(ありがとー。たけるぅ)。とつぜん、おじゃまして、すみません」
まるで、ジャマとも、すいませんとも思ってない口調で自己紹介。
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