第1章

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「あ、勇ちゃん!早かったね。」 尚ちゃんが、男の子を見て言った。 「うん、部室の忘れ物すぐ見つかったからね。部長と久志が一緒に探してくれたから」 「あれ?じゃあ久志くんは一緒じゃないの?」 「…部長が色々煩かったから、お願いしてきた。早く迎えに来たかったし」 「あーあ、久志くんに後で何されても知らないよ?」 「…覚悟してます」 尚ちゃんと話しつつも、勇くんは俺の方をチラチラと気にしている。 「…尚、あの人誰?まさか…彼氏?」 心なしか、勇くんの視線が鋭くなった気がした。 …尚ちゃんの言った通り、随分と妹離れ出来ていないようだ。 「このシスコン!何でもかんでもそうやって決めつけて睨まないの!」 …おう、兄相手に言うなぁ尚ちゃん。 「ほら、秀基さんが前教えてくれた常連さんだよ!今日初めて会ったんだよ」 「あっ!もしかして日替わりお兄さん?」 「…ぷっ。君もそう呼んでるのか」 そう言うと、勇くんもちょっと気まずそうな顔をした。 「あ、気にしないで!俺は五十嵐和樹。これからちょくちょくまた来るから、よろしくな!勇くん」 「僕は掛川勇です。こちらこそよろしくお願いします」
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