第1章

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勇くんはペコリと頭を下げた。 礼儀正しいそのお辞儀は、とても気持ちの良いものだった。 「今度勇くんも一緒に飲もうな。…って言っても未成年だけどさ、俺に付き合ってよ」 「僕こそ、喜んで!」 笑顔でそう言う勇くんも、とても可愛い顔立ちをしていた。 男の子にそう言うのもおかしいかもしれないが、顔立ちが違う兄妹の笑った雰囲気は、どこか似ていた。 「じゃあ、尚帰るよ」 「うん」 そう言われた尚ちゃんは、コップを片付けて荷物を持ってくる。 「じゃあ、失礼します。和樹さんも、また」 「失礼します」 「2人とも気を付けろよー」 「「はい」」 2人が出て行こうとしたその時。 ーーーーガラガラッ 再び店の入り口が開いた。 「…勇、お前また忘れ物してんぞ」 「久志…それ」 「ったく、抜けてんだから」 久志と呼ばれた男の子は、勇くんに向けてプラプラと黒い財布をかざす。 「悪いな」 そう言って、勇くんは財布を受け取る。 「ごめんね久志くん、勇ちゃんいつもそうなんだから。おっちょこちょい…」 「いえいえ、いつものことだし」 「うっせー2人とも」
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