第1章

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そんな3人を見ながら、自分の学生時代を思い出し、懐かしく思えた。 「お!久志!勇のお守りか?」 「秀基さん、こんばんは。いつも2人がお世話になってます」 「また勇と食べに来いよー!」 「はい、よろしくお願いします」 親父さんとも知り合いの様子で話す久志くんは、ふと俺の方を見た。 「この方は…?」 「あ、俺は五十嵐和樹。ここの常連。たまに会うこともあるだろうから、よろしくな、久志くん」 「もしかして、2人が言ってた日替わりお兄さんですか?」 「うん、そうみたい。」 流石に3人目となると、そのあだ名も気にならなくなった。 「会えて嬉しいです!どんな方かなぁって思ってたんで!是非お話したい所ですが、今日は難しいですね。また是非!」 「おう、楽しみにしてる」 話ながら、久志くんはハッと何かを思い出す。 「悪い勇。部長にバレた。俺たちの事。あと、この美味い定食屋も。知られないように頑張ったんだけどな。あの人には逆らえねぇわ」 「…ってことは」 「うん、付いて来ちゃったよ」 「はぁ…もう観念するか。僕らが蒔いた種だし」 3人がグッタリ肩を落としているのをみながら、俺と親父さんは顔を見合わせた。 すると、 「おい久志ー!いつまで待たせんだよ」 入り口の向こうから声がする。 どこかで聞いたことのある声に、俺はギクリとした。 おい、まさか…そんなことがあってたまるか。 「…部長、静かにして下さい。何時だと思ってんですか。あと、終電なくなりますよ?俺たちは地元だから良いですけど、帰らないんですか?」 久志くんはゆっくり入り口を開けて、そいつに話しかける。 そいつは、面白そうに笑いながら言った。 「大丈夫だぁって!兄貴がこの辺住んでるから泊めてもらうし!」 「…誰も泊めるなんて言ってねえぞ」 あまりに低い俺の声に、親父さんを始め、他の3人も目を丸くしてこちらを見ている。 「…兄貴じゃん?!何でここにいるの?!」 「え、じゃあ部長のお兄さんって…」 あぁ、今日はとことんついてねぇ。 「そ、この人」 俺を指差していて、3人から部長と呼ばれた人物こそ。 ーー五十嵐涼太、大学3年生。 俺の弟であり、今最も会いたくない人物だ。
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