29人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
確かに、涼太は要領よくて何でも出来るし、俺なんかよりも頭は良い。心配する事はないと思うが、兄貴としたらやはり心配しちゃうわけで。
「大学は上手くいってんのか?適度に遊んでるか?」
「ボチボチ」
「そういやお前から女の話聞かねぇけど、そっちはどうなんだよ?」
「え?」
「彼女いねぇの?」
失恋の傷を抉られた仕返しとばかりに、冷蔵庫を覗き込みながら涼太に声をかける。酒のつまみになりそうな物を探すが、なかなか良いものが見当たらない。仕方なく、発泡酒の缶
とソーセージを2つずつ取り出し右足で冷蔵庫を閉める。
振り返って、一瞬ぎょっとする。
「…何だ、そんな怖い顔して」
「…別に」
地雷でも踏んだか。
涼太は急に不機嫌になり、テーブルに頬杖をつき俺を睨み付けている。
「そう怒るなって、本当に久しぶりに来たんだから」
テーブルに酒とソーセージを置き、涼太の前に座る。
実際、涼太が俺の家に来たのは約2年振りだった。咲子と同棲し始めて割りとすぐに来た後は、遠慮したのかパタッと来なくなった。
最初のコメントを投稿しよう!