プロローグ

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 確かに、涼太は要領よくて何でも出来るし、俺なんかよりも頭は良い。心配する事はないと思うが、兄貴としたらやはり心配しちゃうわけで。 「大学は上手くいってんのか?適度に遊んでるか?」 「ボチボチ」 「そういやお前から女の話聞かねぇけど、そっちはどうなんだよ?」 「え?」 「彼女いねぇの?」  失恋の傷を抉られた仕返しとばかりに、冷蔵庫を覗き込みながら涼太に声をかける。酒のつまみになりそうな物を探すが、なかなか良いものが見当たらない。仕方なく、発泡酒の缶 とソーセージを2つずつ取り出し右足で冷蔵庫を閉める。  振り返って、一瞬ぎょっとする。 「…何だ、そんな怖い顔して」 「…別に」  地雷でも踏んだか。  涼太は急に不機嫌になり、テーブルに頬杖をつき俺を睨み付けている。 「そう怒るなって、本当に久しぶりに来たんだから」  テーブルに酒とソーセージを置き、涼太の前に座る。  実際、涼太が俺の家に来たのは約2年振りだった。咲子と同棲し始めて割りとすぐに来た後は、遠慮したのかパタッと来なくなった。
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