プロローグ

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 それまでは急にやって来る事が多かったが、やはりその日も急にやって来て、玄関を開けた咲子と鉢合わせした。驚いてそのまま帰宅した涼太が実家でその経緯を伝え、同棲を始めて早々に両親にバレた。頭が固く、厳しい両親は、結婚するか分からない人との同棲をすぐには認められず、その後実家に呼び出されて小一時間言い争った記憶がある。  …嫌なことを思い出しちまった。 「まぁお前ならモテるだろうし、女には困らないだろ」 「いや、色々ウザいし」 「…酷ぇな。羨ましい限りです」  涼太は…兄貴の俺が言うのもアレだが、かなり美しい顔立ちをしている。近年の女が好む様な所謂"イケメン"と言うやつだ。スラッと背も高く、細身でカッコいい。 涼太は母親と瓜二つで、綺麗な顔立ちが女子から絶大な人気を誇っている。  対する俺は、背も涼太より7cmも低く、一般的な体格。ただの一般男性。ごくごく平凡な存在である。  結論。あまり似ていない。 「好きな子くらいいるだろ?」  ソーセージを開け、口に頬張りながら会話を続ける。 「…いるけど、何となく仕向けてもなかなか上手くいかなくてさ」 「涼太に迫られて落ちないやつなんていないだろ」 「本当にそう思う?」
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