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「あぁ、兄貴の俺が保証する!ドンとぶつかって行け」
兄貴として、弟にエールを送り太鼓判を押す。
実際、涼太のモテ具合は小学校の頃から知っている。俺の同級生でも、一目見たら好きになる女子は結構いた。
…当時、俺の好きだった子もそうだったように。
「じゃあ、ちょっと頑張ろうかな…」
「おう、やっちまえ」
涼太は立ち上がって歩き出す。やっと帰る気になったか、とタクシーを呼ぶためにケータイを取り出し番号をプッシュしていく。
「帰るだろ?今タクシー呼んで…」
「待って」
「?」
ケータイを覆うように掴まれ、番号の続きを押すことが出来ない。
そのままケータイを抜き取りテ
ーブルに置く。そして、俺の右手にキスを落とす。
…って、何故?
「おい涼太、何してんだよ」
「何って?兄貴からの御墨付きだし、頑張ってアピール中だよ」
「…は!?」
俺の思考回路、完全停止。
「あのさぁ兄貴、俺の好きなやつ誰だと思ってる?」
そのまま横から床に押し倒される。頭上で両手を押さえられ、身動きが出来ない。
体格もウエイトも力も強い涼太を振りほどけない。社会人だからって怠けず、鍛えておけば良かったと今更ながらに後悔する。
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