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訳も分からず、言われるがまま目をつぶっていると、華は握っている少年の手首の感触が徐々に変化してゆくのを感じた。
なんだろ?さっきよりも太くてフサフサした感じがする……。
驚いて華が目を開けると、そこにいたのは少年ではなく、大っきな犬で、足元には滑ったかのような形でズボンが広がっていた。
耳先や眉上、背は濃いめの灰色で、お腹に向かうほど徐々に銀白色になってゆくグラデーションがすこぶる美しく、瞳の琥珀は見るものすべてを吸い寄せるほど魅力的だった。
「きれい……」
怖さなど微塵も感じない。
華はその滑らかな毛並みを手でなぞり、温もりに触れたくて逞しい首をそっと抱きしめた。
「ふふ、あったかぁい」
華のなすがままに任せていた琥一だったが、さすがに堪らずに声を掛ける。
「あのっ、ごめんハナ。一応僕も男だし、今は裸だからさ、ちょっと身体的に困るというか……」
言いにくそうに言葉を詰まらせる琥一に、華はようやく我に返る。
そうだった、この犬は琥一くんで……しかも裸?……きゃあっ、華は顔を真っ赤にして慌てて離れた。
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