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恥ずかしくて後ろを向いた華に、琥一は更にお願いをする。
「ハナ、そろそろ人間の姿になるから、僕が服を着るまでそうしていてくれる?」
喋るのも恥ずかしい華は、黙ったまま何度も頷いて返事をした。
目を閉じているので、余計に聴覚が研ぎ澄まされ、琥一が服を着る際に出る摩擦音が鮮明に感じられた。
ダメよと理性はとめているのに、脳裏には勝手に琥一の着替え姿が浮かんできて、華の胸のドキドキは最高潮になる。
「ハナ、もういいよ」
と言う、琥一の言葉にようやく華は安堵して、後ろを振り向いた。
そこには元通り、見惚れるほどの美貌を持つ少年が照れ臭そうに立っている。
まだ、頭が上手く回っていない華だったが、取り敢えず話を聞く為に、琥一を促して二人並んでその場に座った。
「ごめん、ハナ、手を握ってても良い?」
華が黙って手を出すと、琥一はそれを愛おしそうに優しく握る。
琥一の手は緊張の為かひどく冷たかった。
自分の秘密を明かした事で、華に嫌われやしないかと不安に感じているようだ。
ゆっくりと噛みしめるように、琥一は語り始めた。
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