幼き君と

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「うぇーん、うぇーん。ママに怒られちゃうよー。お靴が汚れちゃったよー、わーん」 どうやら華はワンコを追いかけてきて、どろ道で靴を汚してしまったらしい。 ワンコの耳は人の数倍なので、少女の声はうるさくて叶わない。 やれやれと思いながらも、放ってもおけずにワンコは声を頼りに華を探しにゆく。 来た道を少し戻ると、ワンコはすぐに華を見つける事が出来た。 ワンコは泣いている華の足元にうずくまり、華の靴に着いた泥をきれいにすべて取り除いてくれた。 途端に華は泣きやみ、まだ涙でキラキラしている瞳でワンコに笑いかける。 その可愛いらしさに、ワンコはどきっとして、見惚(みと)れてしまった。 「わぁ、きれいになったぁ。すごいね~、ワンコちゃんありがと」 華はワンコを力任せになでなでして、感謝の意をあらわす。 さすがに強すぎてワンコは迷惑だろうと思いきや、ワンコも満更ではなさそうだ。 折れそうなくらいに尻尾を振って少女に寄り添う。 「あっそうだ、お礼にこれあげる」
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